眼窩脂肪の除去は、たるみやクマのないすっきりとした目元を手に入れるための治療です。治療を受けるからには、誰だって失敗はしたくないもの。眼窩脂肪を除去する際に失敗してしまうケースがあるとしたら、どのようなものでしょうか。考えられる眼窩脂肪除去における失敗やその原因について解説し、あらかじめ失敗を回避するためにできることを紹介します。
眼窩脂肪は上まぶたと下まぶたにあり、それぞれ独立しています。加齢によりまぶたの筋肉や皮膚がたるむと、また眼窩脂肪を包む眼窩隔膜がゆるむと、目の周りにある眼窩脂肪もつられて下がります。
目の上の眼窩脂肪の除去は、上眼瞼脂肪切除術や上眼瞼除皺術と呼ばれ、上まぶたの皮膚または脂肪を切除したり移動を行ったりする治療です。
目の下の眼窩脂肪の除去は、クマ取りや下眼瞼脱脂術と呼ばれています。目の下の膨らみ、黒クマの原因となる眼窩脂肪を取り除き、たるみを解消する治療です。一般に、眼窩脂肪の除去といえば、この下眼瞼脱脂のことを指します。
眼窩脂肪除去で考えられる失敗の例には「ダウンタイムの症状が重い」「完成度が低い」「不自然にくぼんでしまう」「たるみ・しわが発生する」「左右差が生じる」「脂肪の取り残し」「効果が得られない」「傷跡が残る」「感染症」などが挙げられます。それぞれを解説して行きます。
眼窩脂肪の除去は外科治療によるため、ある程度のダウンタイムは避けられませんが、基本的にダウンタイムの期間は1~2週間程度です。主な症状には腫れ、痛み、内出血などがありますが、重くはありません。医師の技術とは関係なく、ごくまれに強い腫れや内出血があらわれることがありますが、その場合でも1週間程度で治まります。ただし、不要な治療を行った場合や医師の技術が足りないと、ダウンタイムが長引くことがあります。
眼窩脂肪除去後の完成度は医師の技術に左右されます。脂肪を取り除く量が少ないと変化が現れにくく、取りすぎると凹みが生じます。技術力が低いと「不自然にくぼんでしまう」「たるみ、しわが発生する」「左右差が生じる」「脂肪の取り残し」がある、などという結果を招きます。
眼窩脂肪はただ除去すればよいというものではありません。眼窩脂肪を除去しすぎると目の下が不自然にくぼんだり、かえってクマが目立ったりといった失敗につながります。眼窩脂肪は3つの袋に分かれて入っているため、バランスよく除去しないと凸凹が生じてしまうのです。
たるみを取る治療にもかかわらず、たるみが発生してしまうこともあります。もともと皮膚に弾力性が乏しくシワやたるみがある場合や眼窩脂肪を取りすぎてしまった場合、眼窩脂肪を除去したあとに余った皮膚が下がり、しわやたるみとなります。眼窩脂肪除去により生じる皮膚のたるみやしわは、患者様の状態を見極め適切な治療を選択する診断スキルがあれば防ぐことができます。
眼窩脂肪の除去では、仕上がりに左右差が出ないよう、それぞれに最適な量を除去する必要があります。目元は皮膚の状態や筋肉の使い方の癖などがあり、もともと左右の状態が同じとは限りません。そうした癖も考慮しながらバランスよく除去できないと、仕上がりに差が生じます。
脂肪の取りすぎはくぼみを生じてしまいますが、脂肪の取り残しがある場合は凸凹を生じたり効果が得られなかったりといった失敗につながります。完成目安である3か月を経過しても膨らみが残る場合、原因が皮膚の余りやたるみでなく、取り残した眼窩脂肪によるものであれば、再度除去手術を受けることで効果があります。
下眼瞼脱脂は、目の下の脂肪が原因のたるみ治療です。もともとたるんだ眼窩脂肪がない場合、目の下のクマやたるみの他に原因がある場合などは、効果が得られないことがあります。例えば、皮膚のたるみ、色素沈着による茶クマ、血行不良による青クマなどは適応外です。無駄な治療は、正しい診断により避けることができます。
眼窩脂肪を除去する下眼瞼脱脂には、大きく分けて「経結膜脱脂」と「経皮脱脂」の2つの術式があり、目元の状態に合わせて選択されます。経結膜脱脂であれば、下まぶた裏の粘膜部分からメスを入れるため見えるところに傷は残りませんが、「経皮脱脂」の場合は、皮膚表面に傷が残ることがあります。はじめは赤みがありますが、時間の経過とともに白く薄くなり、下まつげに隠れる傷で目立たなくなります。なるべく傷が目立たないよう縫合することも、医師の基本的な技術によります。特に形成外科的トレーニングを受けた外科医ならば縫合は得意です。
手術時の衛生環境や術後に傷を触わる行為などにより、感染症を招く可能性があります。感染が起こるとダウンタイムの症状が長引いたり傷が残ったりしてしまうことがあります。また、経結膜脱脂に脂肪注入を併用すると感染リスクが高まります。
眼窩脂肪による除去の失敗を避けるためには「自分の希望の完成形をはっきりと伝える」こと、「リスクの高い高周波メスの使用や追加の脂肪注入を避ける」こと、「クリニック選びは慎重に行う」ことです。
理想の仕上がりイメージは、おひとりおひとり異なります。ひとくちに「眼窩脂肪の除去」と言っても、術式により適応が異なります。理想の形がご希望の術式では難しい場合もあります。治療前の診察やカウンセリングで、解剖学を熟知した医師に、不明な点や仕上がりイメージなどを確認し納得したうえで治療に臨みましょう。
少しでも患者様の負担となることは避けたいところですが、医師の技術不足により、不要な治療や器具の使用をすすめるクリニックもあります。例えば、メスの代わりに高周波電気メスを使用すると切開と止血を同時に行うことができるというメリットもありますが、切開部分の血管を傷つけ、血流がなくなることで傷の治りが悪くなることもあります。また、追加の脱脂後の脂肪注入を同時に行うと、クマが消えたのは脱脂によるのか注入によるのかわからなくなってしまいます。高い技術力があれば眼窩脂肪の除去のみで対応できるため不要な治療です。身体的にも経済的にも負担が増すためおすすめしません。
同じメニューでも、クリニックにより治療方針、仕上がり、料金体系、保証は異なります。必要のない治療を行っていないか、治療にかかる総額はいくらか、症例写真なども比較したうえで、カウンセリングで適切な治療やリスクについての説明を受け、納得してから治療に臨みたいものです。
眼窩脂肪除去後の仕上がりは、医師の技術に左右されます。とはいえ、自ら技術不足を公表するクリニックはありません。クリニックにより得意な術式も異なります。術式や症例はもちろん、ご自身の悩みにあった治療についての口コミなど、クリニックの評判も参考にしながら、納得できるクリニックや医師を選びましょう。
眼窩脂肪の除去に関するよくある質問にお答えします。
答え
眼窩脂肪の除去術中は麻酔が効いているため、基本的に全く痛みはありません。最初の局所麻酔の注射を刺すときに針を刺されるチクリとした痛みがある程度です。また、術後の麻酔が切れた後に鈍痛がありますが、処方する痛み止めを内服すれば日常生活に支障のない範囲の痛みで数日で治まります。ただ、個人差があり、ごく稀に仕事に支障が出る人もいます。
答え
眼窩脂肪除去のダウンタイムには個人差がありますが、平均期間は1~2週間程度です。症状には腫れ、痛み、内出血などがあります。
答え
眼窩脂肪除去のダウンタイムには個人差がありますが、平均期間は1~2週間程度です。症状には腫れ、痛み、内出血などがあります。術後の腫れが完全に落ち着くまで、つまり完成までは3か月です。
手術直後よりクマ取りの効果である眼の下のふくらみの除去と、涙袋の復活による若々しい目元は感じられます。ただ、術後の腫れが完全に落ち着くまで、つまり完成までは3か月かかります。
答え
眼窩脂肪を除去する際に、脂肪注入は不要です。
同時に行ってしまうと、どちらの効果でクマが消えたのかわからなくなってしまいます。
本当に脂肪注入が必要な場合、それはまた後日完成した後に行うでも遅くありません。
ただ、基本的に眼窩脂肪除去を単独で行った方で、追加脂肪注入を要した人はおりません。
さらに、脂肪注入には、感染や定着しない脂肪の壊死、脂肪壊死によるしこりといったリスクがあります。脂肪を採取することで、採取部位(ふとももなど)にもダウンタイムが生じ、金銭的にも負担が増えてしまいます。
この記事では以下のことについてご説明しました。
・眼窩脂肪の除去とは
・考えられる眼窩脂肪除去の失敗のケース
・眼窩脂肪の除去の失敗を避けるために
・評判のよいクリニックでの眼窩脂肪の除去がおすすめ
眼窩脂肪の除去とは、下まぶたのたるみや黒クマの原因となっている眼窩脂肪を取り除く外科治療で「下眼瞼脱脂」と呼ばれています。考えられる眼窩脂肪除去の失敗のケースは、「ダウンタイムの症状が重い」「完成度が低い」「効果が得られない」「傷跡が残る」「感染症」など。失敗を避けるには、「自分の希望の完成形をはっきりと伝える」こと、「リスクの高い高周波メスの使用や追加の脂肪注入を避ける」こと、「クリニック選びは慎重に行う」ことがポイントです。評判のよいクリニックで治療を受けることをおすすめします。