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鼻プロテーゼは、プロテーゼを鼻の骨の〝骨膜下〟に作成したポケットの中に挿入する手術。「骨膜下ってどこ?」「違うところに入れたらどうなるの?」「なぜ骨膜下なの?」「縫わずに、どうしてずれないの?」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
鼻プロテーゼを骨膜下に挿入する理由、骨膜下に挿入しないと起きるトラブル、〝骨膜上〟に挿入してしまう失敗を防ぐにはどうすべきか、鼻プロテーゼを骨膜下に挿入した症例写真も交えて、医師が解説します。
「鼻プロテーゼ」は「隆鼻術」とも呼ばれ、鼻スジに人工軟骨であるプロテーゼを入れ、鼻を高くする手術。プロテーゼの挿入位置は〝鼻骨を覆う骨膜と鼻骨の間〟つまり〝骨膜下〟。あくまでプロテーゼは異物であるため生体の防御反応として、プロテーゼ周囲には被膜が形成されます(カプセル化)。プロテーゼを骨膜下に挿入することで、硬い骨膜の下でカプセル化が生じるため、ずれにくくなり、プロテーゼが皮膚表面から透けて見えたり違和感を生じたり、飛び出ることもありません。
2週間ほど腫れ、痛み、内出血などのダウンタイム症状があり、完成までは約3か月。効果は半永久的です。
鼻プロテーゼは骨膜下に挿入すべきですが、誤って骨膜上(皮下)に挿入すると、トラブルにつながります。例えば「プロテーゼが透けて見える」「プロテーゼがずれる・くらつく」「プロテーゼを触ると違和感がある」ことなどが想定されます。プロテーゼは皮下の浅いところに入ってしまった場合、皮膚にできたニキビなどが原因で、感染を引き起こすことがあります。最悪、プロテーゼが飛び出てしまうことがあります。術直後は症状がなくとも、時間が経ってから症状があらわれることがあります。
プロテーゼを皮下に挿入した場合、個人差はありますが、基本的に鼻根部(鼻の付け根)の皮膚は薄いため、輪郭が見えてしまうことがあります。また、軽微な慢性的な炎症を生じてしまうと、赤みが引かなかったり、皮膚の質感が変化することで〝光る〟〝テカる〟などと表現されることもあります。
プロテーゼを骨膜下に挿入した場合、骨膜下でカプセル形成が生じ、プロテーゼは強固に固定されますが、皮下に挿入した場合、プロテーゼの固定性が弱く、不安定になり、ずれたりぐらついたりします。
プロテーゼが皮下に挿入されると、鼻を触ったときに違和感が伝わります。プロテーゼの材料であるシリコンは人間の軟骨に似ているため、骨膜下に収まっていれば、違和感はありません。浅い位置に挿入されることが、違和感の原因となります。
プロテーゼは皮膚の下に挿入されると固定されず、ずれたりぐらついたりします。物理的な刺激や、皮膚にできたニキビなどが原因で、感染を引き起こすことがあります。最悪、プロテーゼが飛び出てしまうことがあります。
鼻プロテーゼを骨膜下に挿入するためには、鼻骨を覆う骨膜を丁寧に剥がす必要があります。鼻の穴の中を切開し、軟骨(外側鼻軟骨)上を剥離します。鼻骨と外側鼻軟骨の結合部を破壊しないように注意し、鼻骨の尾側端で、ハサミを鼻骨に押し付けるように用いて、鼻骨の骨膜を鋭的に切開します。鼻骨の骨膜を切開したのちに、剥離子を用いて鼻骨骨膜下を剥離し、プロテーゼを挿入する十分なスペースを確保します。切開範囲が狭いため、剥がしている状況を目で確認できません。骨膜を剥がし、適切な位置に挿入するためには、手の感覚を頼りに行うことになるため、相応の技術が求められます。技術不足の場合、骨膜が十分に剥がせなかったり、剥がせても違うところに挿入してしまったり、ポケットが小さすぎて、プロテーゼがすれてしまうことも十分に考えられます。
鼻プロテーゼを骨膜上に挿入する失敗を防ぐポイントは「料金より技術力を重視してクリニックを選ぶこと」「形成外科専門医が在籍し指導に当たるクリニックを選ぶこと」「しっかり不安をきいてくれる医師を選ぶこと」です。
鼻プロテーゼの仕上がりは、医師の技術に左右されます。安さよりも技術力を重視しましょう。技術力をチェックする際は、鼻プロテーゼの症例写真が多数掲載されていること、自然な仕上がりであることがポイント。また、修正手術は高いレベルが求められるため、修正対応をしていることも技術も高さの目安になります。
クリニックにより治療方針や術式、技術レベルは異なります。残念ながら、全てのクリニックが患者様に適した安全な手技を選択しているとは言いきれません。リスクヘッジのためにも、ホームページに「形成外科専門医が在籍」と書いてあるクリニックを選び、事前カウンセリングでも担当医の症例数など再確認しましょう。
鼻プロテーゼは副作用やリスクを伴います。クリニックにより方針も仕上がりも異なるため「医師に全てお任せ」は危険です。事前カウンセリングで希望や不安を伝えることで、「骨膜下以外への挿入」「不適切な形・高さ」「理想と異なる仕上がり」を招くリスクを回避することができます。疑問点があれば納得いくまで説明を受け、治療や術後に対する不安を聞いてくれる医師を選びましょう。
プロテーゼを骨膜下に挿入した症例を、写真とともに紹介します。
鼻プロテーゼに関するよくある質問にお答えします。
答え
鼻プロテーゼが骨膜下に挿入されていない可能性があります。プロテーゼは抜去・入替ができます。一度無料カウンセリングにお越しください。
答え
鼻プロテーゼは、適切に治療すれば飛び出しません。骨膜下でなく誤って皮下に挿入した場合や、L字型プロテーゼを挿入した場合、飛び出しのリスクがあります。
答え
鼻プロテーゼが正しく骨膜下に挿入されていれば、触ってもバレることはないでしょう。医師でない限り、普通はわかりません。本人でもわからないくらいです。
今回は以下の内容について説明させていただきました。
・鼻プロテーゼは骨膜下に挿入するのが適切
・鼻プロテーゼを骨膜下に挿入しないと起きるトラブル
・鼻プロテーゼを骨膜下に挿入するのは難しい
・鼻プロテーゼを骨膜上に挿入する失敗を防ぐには
・鼻プロテーゼを骨膜下に挿入した症例
鼻プロテーゼは、骨膜下に挿入します。プロテーゼを骨膜下に挿入すると、硬い骨膜の下でカプセル化されるため、安定させることができます。骨膜上・皮下に挿入すると、ずれやぐらつき、浅すぎる場合は、飛び出しなどのトラブルの原因に。骨膜下に挿入するには、高度な技術が要求されます。骨膜上に挿入されてしまう失敗を防ぐには、安さより技術力を重視し、ホームページに「形成外科専門医が在籍」とあるクリニック、しっかり不安を聞いてくれる医師を選ぶことが大切です。